• コピーライター|中村 和夫

一番かんたんな企業理念の書き方

~ CIの根幹となる企業理念のフォーマット ~


No.010|D.案件事例|D-002

画像について:理念/物事に対しての根本的な考え。哲学で、理性による経験的な理想的な概念。企業理念。経営理念。サービス理念。

着実に変化するニューノーマルな社会

直近の小欄、コロナ禍の話題から触れていくパターンが増え、本稿もまたアレなので嘆息モノなのですが、首都圏1都3県の緊急事態宣言は、3月21日(日)で解除されながらも、首都圏では飲食店などへの営業時間短縮の要請は、4月21日(水)まで継続されるとのことで、まだまだ気を抜けない状況です。


引き続き時短営業を強いられる飲食業界では、持ち帰り対応やUber Eatsのような宅配サービスなど、ウィズコロナを生き抜くニューノーマルな取り組みで難局を乗り切る努力を続けながらも、アフターコロナを見すえた新しいマーケティング手法への関心も高まるなど、社会は着実に変化しています。



目次|INDEX


クリエイティブ業界のニューノーマル事情

コピーライターへの案件依頼が○○した意外な分野

そもそもコピーライターは企業理念を書けるのか?

 ・CI(シーアイ)とは

「企業理念」っぽいまぎらわしい文言

 ・「企業理念」っぽい項目

■ステップ1:概念の共通化

 1-1)グルーピング

 1-2)ヒエラルキー(上位/下位)

 1-3)ヒエラルキー(中位)

 1-4)概念の種別

 1-5)全体構造

 1-6)ビジネスラベル

 1-7)自社キーワードの抽出

■ステップ2:企業理念の文章化

 2-1)3つの概念による文章化

 2-2)自問自答による文章化

■ステップ3:企業理念の基本構文

 3-1)理想的な企業理念

 3-2)企業理念の定義

日米企業でみる企業理念の因数分解

 ➊ Amazon

 ➋ 伊藤忠グループ

 ➌ ANAホールディングス

 ➍ カネカ

 ➎ Google

 ➏ セブン-イレブン・ジャパン

 ➐ トヨタ

 ➑ パナソニック

 ➒ Facebook

なぜ企業理念は必要なのか

 ・企業理念は「点」と「線」の視点

 ・企業理念の効果と価値

企業理念の添削用フォーマット

「企業理念の書き方」サマリー



クリエイティブ業界のニューノーマル事情

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一方、ブランディングやセールスプロモーションなど、広告や販促に関わるクリエイティブ業界はといえば、コロナ禍以前、いわゆるビフォーコロナから、クラウドだ、リモートだ、オンラインだと、働き方は今どきなスタイルがフツーだったので、あまり影響を受けていないという面は、確かにあります。


当方のようなコピーライティングの生業でも、まあ案件にもよりますが、リサーチや会議はオンラインでもOK、外出や人との会合がなくても支障は軽微、業務面のストレスは、ほとんどないといえます。


ところが、撮影・イベント・モノ・内外装のデザインなど、物理的な現物のやりとりが生じる業種ではなかなかオンラインだけでというワケにもいかず、そのため案件が急減なんて話は少なくありません。


コピーライターへの案件依頼が○○した意外な分野

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で、当方の案件具合はといえば、影響がないどころかこれが大アリでして、とはいえ実際ですね、発注は急減↓ではなくて急増↑という具合に激変しまして、このご時世、誠にありがたいかぎりなのです。


そう、何を隠そう、このコロナ禍によって案件依頼が急増した分野。それは「企業理念」の案件です。


しかし何でまた、企業理念の案件が急増したのか。想像するに、このコロナ禍によって、働く場所、働き方、商品、サービス、体制、社内外のコミュニケーショントーンにいたるまで、あらゆる面での見直しを迫られた企業は決して少なくない、という昨今の現状が挙げられます。


そうした見直しの対象はやがて、自社の理念にまで及ぶのは自然な流れで、コロナ禍を踏まえた企業理念の再設計や最適化などブランディングファーストな経営戦略の必要性に多くの企業が気づきはじめたウンヌンと肩肘張ってカタク考えなくとも、現場のシャチョーさんやおエライさんの間では、たぶん、


「いろいろコロナ対策してきたけど、そもそも今までの考え方でいいんだっけ、いいワケないわな」


と、自社の理念に対して違和感を覚えたり、見直しの必要性に気づきはじめたりして、たぶん、


「企業理念ってどう書けばいいんだっけ(書いたっけ)、あ。コピーライターなら書けんじゃね?」


みたいな一部の企業が、それまで時間や予算を割いていた広告・販促・マーケティング・開発などよりも優先すべき課題と考え、当方のもとへと相談が巡ってきたのではなかろーか、と推測しています。


そもそもコピーライターは企業理念を書けるのか?


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「企業理念」というと、CI(コーポレートアイデンティティ)なんて用語が思い出されますけど、


CI(シーアイ)

企業の個性を明確にして企業イメージの統一を図り、社の内外に認識させること。コーポレートアイデンティティー。

デジタル大辞泉(小学館) 

とあるとおり、CIとは「企業理念もひっくるめた」イメージやデザインなど戦略全般を指すのが一般的なので、本稿では企業理念を「CIのイチ要素であり、根幹となるモノ」的な扱いでとらえていきます。


上記をゆるーく前提としながらも、一般的に「企業理念」っつうモンは、まあぶっちゃけ「文章」ですから、コピーライターとしてというか、当方としては「材料と要望が提供されるのであれば、どんな分野であっても書けなければならない」というのが、基本スタンスではあります。


ちなみに、コピーライティングにおける「書く」という作業は、結果としての成果物における工程の一部で、そこまでの意図・考え方・論理のプロセス、まあ言い方は何でもいいんですけど、要は「ロジック」こそ重要で、そんな意味もひっくるめ「ワーディング」と称すのが、当方はしっくりきています。


まさに、企業理念は書かれた文章同様ロジックこそ重要で、コピーライターの当方としては企業理念こそコピーライティングの真髄、「ワーディング」の最たる領域という感覚ですが、社内完結できない(大概できない)際の相談先として挙がるのは、代理店コンサル士業者あたりが相場のようです。


残念ですけど「企業理念をコピーライターに依頼」とはならず、先の候補先の中に入りさえもしないのが現状のようでして。そこで小欄、これまで手がけたノウハウや事例を凝縮し、誰もがかんたんに試すことができる「企業理念の書き方」を、コピーライターらしい視点で、体系的に整理してみました。


企業理念を新規で書くときはもちろん、既存の見直しや添削にも役立つこと、必至です(たぶん)。


以降は過去に関わった案件・事例などを参考とする当方解釈であり、断定するものではありません。

あくまで一例、考え方のひとつであり、世のさまざまな手法・解釈を否定するものではありません。

「結論を急ぐ方」「ネタバレOKの方」は、サマリーながら本稿末筆スライドデータを参照ください。



「企業理念」っぽいまぎらわしい文言

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あらためて、本稿では一連を「企業理念」としてラスボス的に崇めて話を進めますが、この企業理念の周辺(謎)には、先述のCI(コーポレートアイデンティティ)以外にも、それっぽいまぎらわしい文言(以降「項目」)が、ワンサカからみついてきます。まずは、それらをざっと列挙してみましょう。



「企業理念」っぽい項目


  • 存在意義

  • 使命

  • ミッション

  • 哲学

  • フィロソフィー

  • ビジョン

  • 目標

  • ゴール

  • 規範

  • ポリシー

  • 社是

  • 社訓

  • モットー

  • 信念

  • 精神

  • 倫理

  • クレド


どーでしょう。どれもそれっぽいまぎらわしい項目ばかりです。これらは「企業理念」における数々の案件現場で、関係者を戸惑わせてきたやっかいな項目たちでして、イマイチ違いがわかりません。


これら項目に対して関係者間で認識がちょっとでもズレると、ただでさえ混乱しやすい理念が、打ち合わせを重ねるごとにますますカオスっていき、間違いなく抜け出せなくなります、当方の経験上。


そんなカオスのトラップにハマらないためにも、以降、企業理念というラスボスに向かって、3つのステップでアプローチしてみましょう。



ステップ1:概念の共通化


1-1)グルーピング

まず前提として、各項目の考え方(概念)の整理・共通化から。先に挙げられた各項目は、「存在意義 ≒ バリュー」「使命 ≒ ミッション」「哲学 ≒ フィロソフィ」「世界観 ≒ ビジョン」のように、実は、同義の項目として、漢字カナにグルーピングできる。


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1-2)ヒエラルキー(上位/下位)

漢字/カナでグルーピングすることで項目数自体が減るだけでなく、たとえば「『使命(ミッション)』の配下に、『規範(ポリシー)』が位置づけられる」というように、字義的な意味合いからある程度は「上位」「下位」と分類できることがわかる(各社それぞれ事情が違うので感覚的でも可)。


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1-3)ヒエラルキー(中位)

上位」「下位」に分類した項目とは別な視点で、業務内容・業務範囲・業務対象・マーケット・ターゲットという項目を、(あまり深くは考えず)「中位」のヒエラルキーに分類する。なぜならこれらは、重要でありながら「企業理念」の項目として見落とされがちで、ヌケや失念を避けるためによる。


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1-4)概念の種別

すると、実は、上位は「目的」、下位は「方針」という考え方=概念であることがわかる。なお、「当社の特長」「わが社のウリ」のような、いわゆる「強み」は、下位に見つけられることが多いので、ゆるーく「方針」(と同類)として、ひとまずとらえておく。


このように分類することで、実は、中位は「手段」(業務内容)、「対象」(業務範囲・業務対象・マーケット・ターゲット)という考え方=概念であることも、わかってくる。


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ちなみに、仮に、前述1-2)ヒエラルキー(上位/下位)の分類の際に挙げられなかった項目、たとえば「約束(プロミス)」のような項目が出現し、その分類に悩んだ場合は、それは「目的のためなのか」、それとも「(目的のための)方針なのか」と考えると、上位/下位に分類しやすくなる。



1-5)全体構造

ここまでを、スターバックスを例にざっくり当てはめてみると、下位から上位へと向かうように(よりわかりやすく理解するするため、「強み」「対象」はこの際ちょっとだけ忘れながら)、


お客様中心のValuesという「方針」がともなった、

コーヒーという「手段」で、

人々の心を豊かで活力あるものにするという「目的」を果たす。


という構造になることが見えてくる。


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1-6)ビジネスラベル

ここまでの概念や構造が整理できてはじめて、ビジネスの現場で使われる本来的な項目、いわゆる、


企業理念(企業価値)

事業領域(事業ドメイン)

企業指針(企業姿勢)


というビジネスラベルが、「上位」「中位」「下位」それぞれに貼り付けられることがわかってくる。こうすることで、やっとラスボスたる「企業理念」が上位に降臨し、ラスボスたる所以が理解できる。


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つまり、整理すると、